練習

近所にある中学校の吹奏楽部の練習している音が聴こえてきたのは久々だ。土曜日は練習で、日曜日は休みなのか。校舎の二階か三階の開けた窓のなかから、合奏の音響が我々の歩いてる道端まで盛大に聴こえてきた。いつものことながら、その音が不思議な違和感をともなっている。頭上の室内に、十何人だかが集まっていて、一斉に演奏している音が聴こえているはずなのだが、どうも違う感じもする。そう聴こえるように周到に調整された出力装置からの音なんじゃないかと感じてしまうのだ。なぜか、そういう感じに聴こえるのである。

さらに今日思ったのは、みんなで一斉にやって、アンサンブルを成立させてしまうと、意外なほど吹奏楽としての安定感が強くて、そのぶんあまり面白い音ではないということ。いつものように、数人が思い思いに適当なフレーズをぱらぱらとやって、合間に打楽器の打撃音が、適当なアクセントのように差し込まれて、そういうダラダラとしたウォーミングアップの時間が続いてる、あの感じの方が聴いていてずっと良いのだ。いや、思わず足を止めたくなるくらい、その音は魅力的なのだ。できればずっと、各自が思いのままに、だらだらと演奏したりしなかったり、そんな練習の時間だけを過ごしていてほしい。