9月上旬に開花して「今年は花期が早かった」と思っていたキンモクセイですが(その時の様子は下記ご参照ください)、第二波のようにまた花が咲いています。花のつきかたを見るとこちらが本波のようです。気候が不安定だと、植物の動きも揃わなくなってしまい、気がかりです。https://t.co/fG0GpCHhAw pic.twitter.com/7tIQ7RJraC
— 牧野記念庭園記念館Staff (@makinoteienJP) 2021年10月4日
このリンクが、妻から送られてきて「私も気付いた、いい匂いがする」とのこと。
僕もわかった。たしかに咲いている。この前散ったはずのものが、また復活してる。たしかにいい匂いだけど、なんとも妙な感覚におちいる。まるで十日ばかり前からの時間が、すこしだけ逆に流れたかのような。
この先何年かしたら、桜が二度咲くような事態をいつか経験するのかもしれないとも思う。三月下旬頃、寒さがゆるむと共に、つぼみがふくらんできて、やがて咲いて、しかしすぐに散る。その数週間後に、またつぼみがふくらんできて、また咲く。もしそんなことになったら、それは桜が感じさせる、もっとも桜的なものを桜自身が捨て去ったような印象をもたらすのではないか。冬から春へと移り変わるその瞬間を一度だけ指し示すはずの、まるで摂理のような役割をになっていたはずの出来事が、二度平然と繰り返されてしまったら、自分らはもはや、規定通りに春が訪れたという事実を信じられなくなってしまう、それどころかこれまでくりかえしてきた全部の春も、今まで見てきた桜までをも、信じることができなくなってしまうのではないか。
あるいは、まあそんなもんだろう、とか言って、意外に平然と受け入れてしまうだろうか。