ぼくの自転車のうしろに乗りなよ

「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」が収録されたRCサクセション「楽しい夕べに」は1972年リリースのセカンドアルバム。当時このレコードをつくって、これをもって世の中へ切り込んでいこうとした無名バンドの気概(気分、期待、不安、あるいは諦め、疲れ)が、まるでたった今の出来事のように、伝わってくるかのようだ。

で、ぜんぜん関係ないけど半月ほど前のことだったか、歩いている我々の前を自転車の女性が通り過ぎた。と思ったら急停車して下を向いて困っている。見ると自転車の後輪の軸のところに、長くてひらひらした薄手のスカートの裾が巻き込まれてしまったようだ。近寄って巻き込み解除を手伝う。かなりしっかりと食い込んでしまっているように見えて、当初これは相当重症ではないかと思ったのだが、後輪を逆回りにくるくると回すとあっさりとほどけていってそのまま車輪からはずれた。スカートは破れも綻びもなく、汚れもほとんど目立たないくらいだった。すいませんすいませんと恐縮しながら自転車で去っていく女性を見送った。その翌日、駅前で歩いている女性のスカートが、前日自転車に巻き込まれたスカートと全く同じやつだった。でも昨日の女性とは別人。あのスカート、流行ってるのか…と思った。その格好で自転車に乗るなら気を付けろよ…と心の中で思った。

ところで自転車の二人乗りは道路交通法違反なのか。子供を乗せたお母さんの自転車はよく見かけるが、大人や学生の二人乗りをたしかに最近は見かけない。今どきそんなことする人いないか。あるいは自分がまだ仕事してる時間の夕方どきなら下校時の学生とか、いるのかもしれないが。自転車で駅まで恋人を迎えに行って、二人乗りで家に帰って、レコードを聴きながら紅茶を飲む、そんな若い人なんて、さすがにもういないかもしれないが。