ワンカット

Amazon Primeで、大島渚「飼育」(1961年)を観た。すごいワンシーン・ワンカットがいくつもあった。群衆による混乱状況の場面では、近景、中景、遠景、それぞれの人物がそれぞれ無関係に、しかしそれぞれの出来事が、転がる球がぶつかり合って連鎖していくかのように、対話や動きが勃発し伝播し拡散していく。ある人物の立場が悪くなっていくとか、逆に別の者へ矛先が向くとか、そういうことが示されたことが事後的にわかるのだが、観ているときは、そういうことが示されているとは思わずに観ている。中盤、納屋から出て、川遊びをする黒人兵や子供らを俯瞰でとらえた場面も、ほとんど天国っぽい凄さ。ラストの悲劇的な場面も、すごいワンカットの終盤、上から見下ろした画面によって明らかになる。