シンプルメン

ザ・シネマメンバーズで、ハル・ハートリーシンプルメン」(1992年)を観た。冒頭から、如何にも…という感じのショットが連続するので、おお、これは楽しい・・・と思ったのだけど、しだいに退屈してしまう。これはやはり自分に固有の、1971年生まれの人間が1992年の映画を観たときの、その内容によってはどうしても感じてしまう「これはすでに、もう終わってるはず」の印象。とはいえハル・ハートリー作品をこれまで観てなかった時点で、それはお前が悪いと言われても仕方がない。もし当時、リアルタイムで観ていたならば、どう感じただろうかと、まさにあの時代を思わせる、軽く歪みつつも渇いたギターの音を反芻しながら思う。たぶん本作が「はなればなれに」に対して意識したはずの距離感よりは、あの「ギターの音」に対しての距離感の方が、この映画の語るにあたっての重要事ではないか。色々と登場したヘンな登場人物たちに、その意識からくる切実さのようなものが、もっと響いていなければ。それがそうでなくて、何か形骸的な印象しか感じられなくなっているのだとしたら、それがもはや、作品の耐用年数を示しているということではないかと。いや、たかが一作観ただけで、それを言うのはまだ早いとも思う。あえて思ったことを書いているけど、いつか他作品を観ることで感想を訂正することができれば幸いだ。