創作

個人が特定できてしまうような記述を避ける、あるいは守秘義務を守るため、たとえば会社での出来事とか、会社に関することをここに書くとき、身元や固有名をぼかすための配慮はしなければならないが、自分の場合はFさんやMさんのように伏字を使うよりも、適当な名前や適当な場所名を、仮名としてあたえることを好む。それだけでは隠蔽力が心許ない場合なら、思い切って出来事そのものを別の、しかしよく似た構造の、その文章の趣旨にかなう目的を担えるだけの別エピソードに置き換えてしまうこともある。こうなるとほぼ創作になってしまうが、そのことでむしろ創作の面白さというか、創作として必要なディテールとは何かを、こういうことで考えるきっかけにはなる。一部にセットを組んだ風景を使って、ロケ撮影するかのように書くというか、書こうとすることの充実度合が、架空の部分を裏打ちして説得力をもたせてくれるのを感じながら書くという感じだ。とはいえそういう取り組みは、けっこう気合もいるし何度も書き直すし時間もかかるし、これまでやって成功したと思えるものは(少なくとも自己満足できる程度の事例さえ)、さほど多くはない…。