音質

再生した音楽をiPhoneのスピーカーから出力するとき、その音が弱くも感じるし、それでもこんな小さな筐体から出る音にしては充分高品質にも感じる。

そしてこの音と同等か、もしくはよほど劣悪な音質で音楽を聴いていたのが、十代とか二十代の頃だっただろうなと思う。そもそも音質など重要だと思ってなかったし、というかじつは今も、さほど重要には思ってない。

昔はなにしろ、何を聴いても面白かったので、音の良さなどという、どの音楽もおしなべて一つに並べて比較してどうこうみたいな比較なんて、そんな発想は思いもよらなかった。

とはいえたしかに、劣悪な音質というのはあった。隠し録りされた音源がソースの海賊版など酷い音質のレコードを聴いたあとに、ふつうの音楽(とは何か?…つまり正規のライセンス契約を通して流通した音楽のことか。しかしそれと音質は本来無関係のはずだが)を聴くと、まるで文化も生活習慣も異なる別様の種族から届けられたふたつの媒体のように感じもした。