テレビをつけたら、映画「エクソシスト」が放送してて、場面はちょうどクライマックスの悪魔に憑依された少女と神父らの対決シーンだった。

こういった悪魔祓い=祈りの行為がそのまま敵との攻防として表現されるというのは、その後にたくさん作られたことだろう超能力者や異能力者らと敵との戦いという物語形式の、もしかするとこれこそが端緒であり第一号ということかもしれないと思った。

あとこの映画は、二人の神父が少女の横たわるベッドの周囲を必死で右往左往するわけだが、その闘いがある種の医療行為に見えるのも面白い。医療行為とはそもそも、医者が患者に対して何をやっているのか傍目からはわかりにくいもので、それがかえって医者の神秘性や崇高さをより補強しもするだろうが、この映画では本来は無力なはず(無力でなければ困る)宗教者が、あたかもすぐれた技術力をそなえた医者のように振る舞い、闘志を剥き出しにして果敢に患者の治療に挑むような感じも、やはり従来はなかった新しいヒーロー像のこれが先駆けだったのかもしれないと思った。