このブログを検索してみると、どうも自分は、意外なほどにザ・ドアーズというバンドのことが好きらしい。そんなはずないというか、あまり自覚ないのだけど、ザ・ドアーズに関して何か新しい音源だの映像だのリリースされれば、それなりにいそいそと入手して、その感想を書きたくなるらしいのだ。くりかえすがドアーズの音楽を自分は決して好んではいないというか、さすがにキツイというか、心から楽しんで聴いているわけではない。ただやはり十代の頃にずいぶん長い時間をかけて聴いていたことがいまだに大きく作用してるところはある。ノスタルジーを喚起させるというのともまたちょっと違う。ザ・ドアーズだけは妙に音の細かい襞の奥にまで耳が届くような感じがするのだ。

ザ・ドアーズを高校生のときに聴いていて、今もそれを思い出すなどというと、まるで僕は60年代から70年代にかけて高校生だったかのように誤解されかねないけど、僕が高校生だったのは80年代なので、全くリアルタイムではなくて、再発された版を聴いていたのである。僕も若い時は妙に「拗らせて」いたので、聴く音楽のほぼすべてが50年代~70年代のロックばかりで、そうやって「今」に背を向けたくなるのは典型的なのだろうが、とにかくそういう毎日だったので、ザ・ドアーズもそんな音楽体験の一環だった。

しかしCDを買うのも最近は一年に一枚とか二枚とか、それ以下でも不思議じゃない感じだ。昨日注文したら今日届いた「ライヴ・アット・ザ・マトリックス 1967」は、ザ・ドアーズ1stアルバムリリース直後のライブ盤で、まだ「壊れる」前の、非常に素朴で真面目で朴訥とした、緩くて酩酊感あふれるジャズ味掛かったブルース・ロックをひたすら演奏する「最近話題らしいバンド」の演奏が、ぎっしりと収録されていて、これはずっと心地よく聴ける。

このオルガン主体の素朴さこそが、1stアルバムをあれほど唯一無比のものにさせたのだな、あれは狙ってああなったわけではないのだろうなと、これらの演奏を聴いているとそれがよくわかる。何かまだ彼らにとって、音楽はあらわれるものであって、自分らが演奏するものではないという感じ、何よりも彼ら自身が、あらわれる音に金縛りにあったかのように受身なまま、ただ呆然としてるような感じがするのだ。