都民の日で入場無料ということなので、とりいそぎ上野動物園ハシビロコウの様子を確認しに行く。上野にハシビロコウは四羽いて、そのうちの三羽を確認できた。久しぶりに見た彼らは相変わらずの姿で、後頭部の寝ぐせみたいな羽毛をただ風になびかせていた。

「動かない」ことで有名なハシビロコウは、じつはけっこう頻繁に動くので、彼らを見物している観客のほとんどが「あ!動いてる」と、意外なものを眼にしたかのように驚くのだが、そのまま十分、十五分と見続けていれば、むしろそう長くはジッとしておらず、以外に落ち着きなく己が身体を揺さぶったり毛繕いする彼らの姿を、誰もが知ることになるだろう。

とは言っても、十分、十五分と黙って彼らを見続けている観客は、周囲を見渡しても我々くらいなもので、誰もが柵の前で彼らの表情を伺える位置に陣取ってスマホを向け、ひとしきり満足を得るとその場からいなくなってしまうので、彼らの時間に付き添うように立ち尽くしてる人は稀である。それに、それで何がわかるわけでもなく、彼らの持つ時間にやはり我々人間が同期し辛いには違いないのだ。

ちなみに上野動物園ハシビロコウ「だけ」を見て帰るなら、根津駅湯島駅を利用して不忍池を見やりつつ池ノ端門から入場すれば、ハシビロコウの柵がほぼすぐ目の前にあらわれるので便利だ(できれば他の鳥たちも見たかったが、場所が園内の真反対の方になる)。