土日


土曜日は朝から西新橋で健康診断、約一年節制したので、前回の成績を大きく上回ってクリアした。ただし肝機能ALT(GPT)・AST(GOT)だけは、ちょっとお疲れみたいなので少し労わりましょうね、とのこと。それを労わるのが、この世でもっとも難しいことなのだが…。妻と待ち合わせ。新橋駅前で古本市がやってたので、待ち時間の一時間半くらいかけてかなりじっくりと見たが、とくに買いたいものは見つからなかった。午後は浜離宮公園→東京水辺ライン隅田川を北上して浅草→電車で御茶ノ水で食事。ビーフコンソメスープの本物感がすばらしい。見た目は何の変哲もないけど、たぶんもっとも奥深くて手間も掛かり採算性は最もきびしいとされる料理。スプーンを口に運ぶたびに、さっきX線撮影と超音波測定の結果で見せられた食道および胃の中へと黄金色の液体が流れ込んでいくのだ。→そして帰宅。


今日は図書館で本を返す。借りる本はいつも多くて二冊、たいてい一冊くらいで、それ以上借りてもどうせ読めないのだが、でも今日返す本は四冊。こんなにたくさん借りたのは何年ぶりか。しかも返却してから、思わずまた大量に借りてしまって、荷物がまったく軽くならない。どうするのかこんなに借りて。上野に移動して、新しく出来た弁天門から上野動物園へ。都民の日なので無料入園可である。混雑してるかと思いきやさほどでもなかった。来た目的はハシビロコウの定期定点観測だが、いつもどおり、いや、いつもよりやや活発な様子だ。観客はハシビロコウを動かないものだと思って見ているので、ふいに動くと、おおっとどよめいたりする。ハシビロコウが動いてる。きっとすごくレアな瞬間を目撃してしまったに違いない、みたいな感じで軽くざわつく。しかしよくよく見てると、あたりを見回したり、足で首元を掻いたり、意外に普通の生き物っぽくしてるので、なんだよ、それでもハシビロかよ。そんなに動くなよ、みたいな、次第に不満足なムードが漂いはじめる。その様子を傍で見てるとちょっと気の毒に思う。ハシビロコウを務めるのも楽じゃなさそうだ。


退園後、根津、千駄木から西日暮里まで歩く。途中、古本屋に寄って、またなんやかや買う。今日はやたらと本に手を出す日だ。それはいいけど手にしたからには、がんばって読まないとだめだ。


帰って夕食後、菊池成孔のラジオを聴いてたら、西武新宿駅を歌舞伎町駅という名前にすれば良いみたいな話をしていて、あ!っと思った。埼玉の西武線沿線で育った我が身にとって、西武新宿駅は幼少時から見知った駅だが、歌舞伎町駅だなんて、その発想はなかった。しかし言われてみると、なるほどこれほどまでにぴったり来る名前は、そうそう無いように思われる。是非そうなれば良い。まあ、ありえないだろうけど。


ジャームッシュ「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」をDVDで観る。とても良かった。ティルダ・スウィントン、いいですね。ほとんど全部が夜のシーン。夜の映画。少し部屋の窓を開けて観ていたのだが、すーっと冷たい風が時折部屋に入り込んできて、それが映画の中の空気そのもののように感じられた。真っ暗の中に浮かぶ船のような白い自動車。舞台はデトロイトと、そしてタンジェ。夜のタンジェって、こんな感じなのか。闇の中、ノイズの残響音。ヴェルベット・アンダーグラウンドの「Venus in Furs」のような。