ヒューモアとは、たとえば自分が死んだら世界も終わるという独我論固執しながらも、自らの死後きちんと清掃業者の手配がなされるように事前配慮するようなこととの間にある。これをイロニーにせずヒューモアに開くには、何よりもその分裂と矛盾をそのまま受け入れることができるかどうかだ。というよりもそれはもはや目指すべき何かではなくて、ただの姿勢であり、性格であり、体質でもある。信仰の問題だとも思う。もちろん特定宗教への信仰ではなくて、矛盾や分裂の内訳を細かく見て知ることができると信じてる、その楽観性のことだ。楽観的であるとは、つまり信じる力が強いということだ。楽しい人、そばにいるだけで自らの楽しさを周囲に伝えることが出来るような人とは、自分が自らの幸福を信じる力によってそれを実現している。すぐれた芸術家とはたいてい、そういう類の人たちだと思う。