タマネギと大根でアチャールを作ってみた。

ぼくはカレーという料理は、好きだけど人並み以上に好むわけではないとは思うのだが、昔はランチ時に外でカレーを食べていた。店は御徒町ラホール(のブラックカレー)か、湯島デリー(のカシミールカレー)で、それ以外の店には行かない。とくにデリーは、ひどいときは週に四日は通っていた。なぜ週五日行かなかったというと、さすがに五日行ったら店員にバカと思われそうなので皆勤は自粛したのだった。

あの一皿が、もはや今の自分には相当に重いのだろうけど、ときおり記憶の片隅から、あの味わいがよみがえるときがあって、それがなぜか不思議なことに、カレーそのものではなく付け合わせのアチャールなのだ。正直デリーのアチャールは、カシミールカレーの付け合わせとしては抜群のコンビネーションだとは思うが、あれ単体で大騒ぎするほど美味しいわけではない気もする。でもなあ…あれなあ、と、なぜかあきらめ切れずに、いつまでも気にし続けてしまう。

じつはデリーはオニオンピクルススパイスを外販していて、このスパイスを用いれば店同様のアチャールを自宅で作ることが可能なのだ…などということは、大昔から知っているし、過去に二度ほど購入している。でも、どうがんばっても「これじゃない」感じなのだ。そもそもデリーの外販は、レトルトのカレールーにせよ、当然ながらさすがにお店の完全再現という感じではなくて、それは仕方のないことだが、しかしカレーはともかく、このオニオンピクルススパイスには、何度かやきもきさせられている。これ、お店のやつだとさらにもう何工程か加えるでしょ…と思う。

で、だから今回はデリーをいったん忘れて、ふつうにネットで検索したレシピでやってみることにした。と言うほど大げさではなくて、切った食材を買ってきたターメリックコリアンダー、レッドペッパー、パプリカで和えて、レモンと塩で味調整だけだ。

作って食べてみたら、やはりデリーのあれではない。しかしデリーのオニオンピクルススパイスで作ったやつよりはいいと思う。これはこれでいい、というか、むしろこっちの方が、アチャールとして、まともではないかと思う。だから、まあ成功というか、これで良かったのかもしれない。でも思いがかなったわけではないよね?これが目的だったわけではないよね?と、どこかから声が聴こえもする。でもそんなの、無いものねだりでしょ、とも思う。何にせよ、思い描いたアレには決して手が届かないのが、常なのだ。