NHK-BSで、刑事コロンボ シリーズ2「死者の身代金」のを観る。犯人の女を演じたリー・グラントが良かった。こんな裏表なき、まごうことなき悪女がこの世に実在したら、どんなにいいことかと思う。彼女はほとんど非現実的なまでに独りで大活躍する悪漢なのだが、そのことよりももうけっして若くはないけど張り詰めた何かを秘めた顔立ち、そして終始ほとんど変化のない表情が良かった。
コロンボを見てると、どうも「古畑…」に出演していた幾人もの俳優のわざとらしい物腰や立ち振る舞いを思い出して不愉快になり、それにくらべるとアメリカの役者は揺ぎ無くて立派だなあ…と思う。もちろんそれはたぶんフェアな感想ではなく、日本のドラマで日本の役者はその時代や風潮におもねらざるを得ず、そこに求められる感情の移入先になるのが仕事で、そのことに真面目に取り組んでいるだけで、それ自体を批判される謂れはないはずだし、もしそうならコロンボ出演の俳優だって同じなはずで、コロンボの役者が立派に見えるのだとしたら、ぼくがコロンボの時代を知らないからだろう。