日比谷線の仲御徒町の出口の階段を上がったら、雨がやんでいてものすごい晴天になっていた。ほんの20分前まで激しく降っていたのがまったくの嘘のような日差しで上着を脱いで歩いた。しかし路面もビルの壁も商店の軒先も行き交う車の車体もまだ完全に雨に濡れていて、空はもうすっかり晴れ上がって強い日差しが照りつけているので、濡れているすべての事物が光を反射してぎらぎらと輝いていてまぶしいほどで、すごく爽快でもあり、すごく安っぽい軽薄なぎらぎらした風景の感じにも思えた。視界全体が、まるで大浴場のようだと思った。ニセモノの大理石やインチキ風ギリシャ彫刻で囲われたテカテカの世界が一瞬みえた。しかしその後30分もするとまた日は翳ってしまい、いつもの外の風景が戻ってきた。