エスカレーターを降りて、建物から出た。入口が人手いっぱい。飲み会帰りか。通りも人だらけ。雨がぱらぱらと来始めている。雨の匂いに混じって、酒の匂い。人いきれ。嬌声。金曜日の夜の感じ。みんな、楽しそう。酒が入ってる。建物自体がお祭りをしているように浮かれている。ガラス張りの店の中の様子が見える。満席に近い。椅子から腰を浮かせて、身を乗り出して相手の携帯電話を覗き込んでる女性。忙しそうに立ち働く給仕。外灯を映して光るグラス。歩道から段差を降りて反対側の道に渡って、横断歩道の手前に立つ。巨大なビルが倒れてきそうで、その手前の信号がさらに倒れてきそうで、青い光がじっと見ていると眩しくて目がおかしくなる。立ち止まっているから後ろから来た人の群れに飲み込まれそうになるのを後ずさって除ける。そのとき青になって、一台の車が猛烈なスピードで右折して横断歩道を横切っていくのをみんなで見送って、前から続いてぞろぞろと歩き出す。傘を挿している。一人か二人遠くに。はっきりと感じられるくらいの雨粒がひとつ顔にあたる。横浜のみなみ西口の鬱蒼とした駅前から人通りの多い通りを越えて西口に着く。すさまじい人混み。