家で鰺

土日や休みの日に、家でぼけーっと過ごすことが多い。昔からそうだけど最近とくに。何の予定もなく何もせず、無為に過ごしているのが好きになってきた。どこかへ出掛ける気持ちもあるが、家でじっとしているのも同じくらい魅力的だ。どちらも楽しいことだ。家で積極的に何かしたいというわけでもなく、ここではないどこかを頭に思いめぐらすことなく、ほとんどの器官を休めたまま、オフラインで過ごしているだけの状態がいいのだ。午前中から午後にかけて、テレビ番組は何かが小さく騒がしく続いているけど、あれは、時計の変わりになってしまうところがダメだ。つまらない外出もそうだが、時計に駆られている状態を避けたい。スタンプラリーに参加したくない。参加してもべつにかまわないのだが、家にいたっていい。電源を切っていても、まだ意識はある。

ふたたび、鰺を二尾買ってきて三枚おろしにした。なんか先週よりも、下手になってないか。まだ雑な気の持ち方をして良い時期ではないぞと気持ちを入れ替えて、心して掛かる。

包丁に慣れるというか、鰺に慣れてくる。その重みと手触りに馴染みが出てくる。身を持った感じ、頭部の感じ、はらわたの感じ、まな板に置いた感じ。あとはなるべく、それを手で感じずに、触感が最小限で、感覚だけで進めるように…

出来上がるものは、あいかわらず刺身となめろうとあら汁ばかりだけど、自分で塩して少し寝かせて、自家製干物にしても良いのだ。そう考えると、また少し期待の心が頭をもたげてくる。