うわばみ

先日、酒屋の前で傍らの妻に「昨日の酒ってもう飲んじゃったっけ?」と聞いたら「うーん、おぼえてないけど、たぶんもう飲みきった。」と言うので「まったくしょうがないな、うわばみのように飲んでしまうな。」と思わず口にしたら「うわばみって何だっけ?」と聞かれる。あ、あらためて聞かれると、よくわからない。うわばみの如く…みたいな、慣用句がなかったっけ?と思うが、よくわからない。わからないことに気付くと、途端にある言葉をずっと間違って使っていたかのような不安につつまれて、そわそわと落ち着かなくなる。なんか、よく思い出せないんだけど、うわばみって、猫じゃなかったっけ?ろうそくを舐める化け猫みたいなやつ。うーん、しかし何か違う気もする。猫だとしても、それと酒と、何の関係があるのか。ということで、仕方なくスマホを取り出す。…こういうときに、すぐスマホに頼らない選択肢を、最近は常に考えている。そんなすぐに答えを調べなくてもかまわないはずだ。モヤモヤをすぐに解消しようとするのは悪い癖だ。昔はそんなことをしたくても出来なかったけれども、いつの間にかそれを、あたりまえだと思って生きてやしないか。なぜ、今すぐにでなければいけないのか。いつものように、そこまで考えて、しかし今日は、やはりすぐ調べたいよねの方針で許容してブラウザを起動すると、以前に入力したキーワードが検索結果にセットされたままの画面がそのまま表示された。そのキーワード文字列は「白石加代子」だった。…なぜ、いつ何の目的で白石加代子を検索したのか…。まったく記憶にない…。というか、白石加代子って誰だっけ。全く知らないし今の僕がとくに興味を持っているとは思えない人物で、現に今も、何の情報も頭の中に入ってないので、ここでそれがどういう人物なのか説明できないのだが、そのはずなのだが、これは本当に自分が検索したのだろうかと訝しい思いにつつまれた。

ちなみに、うわばみとは、へびだった。へび、あるいは大酒飲みを指す。