退院

昨日入院して今日退院予定の妻を迎えに病院まで行く。術後の安静時間を、眠るわけでもなく、感情が減衰しているかのように、ただ黙って天井を見ている妻の顔を時折確認しつつ、何冊か持参した本をベッド脇に座って読む。一時間に一度くらい、看護師の人が点滴や酸素吸入器の調整をして、そのたびに僕は席をはずして、談話室で廊下の先をぼんやりと眺めたり、しばらくしてまた病室に戻ったり、病院で時間を過ごすときの、三時間とか五時間とかの時間は、いつも独特だ。あっという間に過ぎるといえば、その通りだとも言える。午後が近付いてきて、ブラインド外の日差しが強くなってきたように思え、室温が上昇してないか気になりもし、ふと見ると妻の顔色にもやや赤みがさしたように思う。午後を過ぎてようやく退院手続き。二人、電車で帰る。三時半頃帰宅して、ようやく今日最初の食事をしたくするが、あまり空腹感がないので素麺などで簡単に。しかしビールは飲む。で、食後二人共眠くなってそのまま午睡へ。目覚めたら夕方六時頃で空の明るさが翳り始めていた。