充電

会社を出て駅に向かう途中、朝の時点でiPhoneのバッテリーが半分以下だったことを思い出した。しまった、会社で充電しておけば良かったのにすっかり忘れていた。現時点であと十パーセント少ししかないので、このまま横浜のジムに寄ってから帰宅すると電源が落ちて最寄り駅の改札を抜けられないかもしれない。もしそうなったら、どうなるのだろうか?駅で充電させてくれるのだろうか?とりあえずこのままではマズいので、ジムにいる間iPhoneを充電しながら預けておけば良いだろうと思って横浜駅ソフトバンクショップに寄る。しかしお客様が店内で備え付けの充電機をご利用いただくことは可能ですが当店がお客様のスマホをお預かりすることはできませんとのこと。そうなの?おかしいな、ウチの近くの店で髪切ってる間に充電してもらったことがあるんだけど…それは足立区だから可能なのかどうなのかわからないが、仕方なくショップでの充電はあきらめて、ジムのフロントにも聞いてみたがやはり預かることはできないとのこと。で、泳ぎ終わってジムを出て充電できる場所を探すことになる。できればアルコールを出す店で、そこの電源を使いたかったのだが、飲み屋でそれを許してくれる店は少ないだろう。ただしそれなりに通っていてお互い顔がわかってる店なら、おそらく充電くらいさせてくれるだろう、しかしあいにく横浜でそれなりにわかっている店となると、入って二十分かそこらで会計して出るという感じじゃないので、仕方なく近くのコーヒー店の電源を利用することに。今どきは喫茶店ならほぼ確実に電源はあるという感じか。一人客か二人連れの客で半分方埋まっていている大テーブルに座席数分の電源が据えつけてあった。机上に各種ケーブル類を這わせつつ、思い思いに電子機器の画面を光らせている人たちに僕も混ざって、ようやくiPhoneにアダプターをセットした。向かいの男女が同型のラップトップを並べて、何らかの技術的な話をずっとしていて、二人とも若くてたぶん大学生か専門生じゃないかと思うのだが、主に女性が男性に色々と教えてあげているようで、対話の内容がそれなりに仕事っぽい感じもするのだが、しかしこんな場所で仕事したらコンプライアンス的に何かありそうだし、二人の雰囲気がゆったりリラックス気味だし、話の妙に専門的というか技術的に難易度高い風なところがかえって仕事っぽくない気がして(仕事って大体がもっと単純だし)、たぶん情報技術処理とかそんな専攻?、よくわからないけど、それくさい気がするけど、とか思いながら、そのやり取りを聞くでもなく聞いていた。何となく黒沢清「回路」で大学生を演じる小雪を思い出した。十五分ばかりして、バッテリーが三十パーセントにまで回復したのでお店を出た。