初見者

道路を挟んだ向かいの、去年まで業務系倉庫兼駐車場みたいなスペースが更地になり、囲いに覆われて、やがてマンション建設の工事がはじまった。春先あたりからはじまって、完成するのは年末か来春あたりだろうか。たぶんまだ地面の下の基礎工事みたいなことをやってるのだと思う。毎朝、僕が出掛けるのと同じくらいの時間に、現場作業者の人たちも少しずつ集まってくるようだが、連日この現場に通ってる人がもちろん大勢いるのだろうけど、おそらく今日が初の現場入りという感じの人も、たまに見かける。この規模の工事現場だと、一日とか数日のスポット参加型作業者もいるのだろう。なぜそれが僕から見てわかるのかと言うと、そのような人はほぼ例外なく、はじめての場所に来たという態度を外見にあらわしているからだ。囲いの内側を不安げにそっと覗き込んでいたり、あたりを見回したり、ただその場に立ってるだけでも、何となく心もとないような挙動不審な感じが、その佇まいから感じられるのだ。