旅行

旅行に行きたいという意欲が、徐々になくなってきたと思う。たまには行きたいかな?と思わなくもないのだけど、頭の中で想像するうちに、まあいいか…となる。

紀行文を読むのなら、あいかわらず好きだ。映像で辺鄙なロケ地が映し出されるのを見てるのも好きだ。テレビ番組でも、なんだかよくわからない場所を芸能人らがほっつき歩いてるようなのをたまに見かけるのも、あれはあれで面白いときもある。そんなのを見てるだけでいいかな、とも思う。

いちばん最後の旅行先は、たしか名古屋だ。豊田市美術館に行くために、名古屋で一泊したのだった。あれもまあ一応、旅行の範疇だろう。

名古屋のように都会の真ん中に宿泊するのは、それはそれでいいものだ。なぜなら飲食に事欠かないからだ。なんだ結局それかと呆れられそうだが。

繁華街から遠く離れた、たとえば森の奥深くにある静かなホテルなど、もし行けたら良いだろうなと思うけど、そうだとしても、できれば深夜まで開いてるバーがあればなお良しだな…とは思う。あるいは夜になって周囲を少し彷徨えば、暗闇のなかに一軒、ぽっとお店の灯が点いていて、勇気を出してその店のドアを開けると、店内は思いのほか暖かくて居心地よく、酒も料理もそれなりにあるとか。

なんて、恥ずかしいほどにありきたりでありふれた、紋切り型で凡庸な想像力。お前が旅行にイメージするのは所詮そういうやつか?と、我ながら呆れる。でも要するにそういうことだ。せっかく行くなら、そういう目的ならぬ期待を胸に秘めて旅行したい。