男子

痩せていて身体も小さいから、高校生ではなくたぶん中学生かと思うが、毎朝駅に向かってかったるそうに歩いてるあいつらの、あのダラダラとした歩き方、身体の倍近くもありそうな鞄を肩からぶらさげて、まるで酔っ払いのようにふらふらと、むしろあんな歩き方の方がかえって体力とバランス感覚が要りそうな、あるいは電車内で見かけるあいつらの、独特な立ち姿、姿勢、ダラッとした、猫背の、きわめて姿勢悪い、汚くてデカい鞄を、足元の床にべったりと置いて、がくんとうなだれたように頭を前に倒して、顔からずり落ちそうなメガネ越しに、食い入るようにスマホを見てる。あの独特の佇まい、あの在りようが、もちろん十代の、あの時期だけの感覚とか集中力とか逆に気が散りまくる感じとか一つに心奪われてしまう感じとか、その異様な執拗さをもつ精神状態の、ある種の具現化であるというのは、たしかによくわかる。内側においては、めまぐるしく働いている、見るだけで、聴くだけで、大仕事が稼働する。あいつらにとっては、弛緩ですら、怠惰ですら、倦怠ですら、あのだらしなさですら、めまぐるしくて恋焦がれるかのような何かだ。