家に帰ってきて、シャワーをあびて、簡単に食事した。
グレープフルーツを二つも食べてしまった。食べすぎた。
amazonでワインを二本買う。
Deepchordの新作アルバムを買うかどうか、まだ迷っていて、購入のボタンを押してない。
明日の予定はない。買い物に行くとか、水泳するとか本を読むとか、そんなところだろう。本はなるべく、二時間とか決めて、その間だけは、かなり集中したい。
The Orb の「Orbserver in the Star House」を試聴していて、相当良さそうなので買おうかと思うが、まだ購入のボタンは押してない。ダブなあ。ダブが聴きたい今日この頃だよなあという思いは、確かに感じている。
今買うべきは、Lee Perryかなあ、と思っている。
音楽の形式よりも声のニュアンスとか、そういうものをこれまで重視しているつもりで、別にレゲエが大好きな訳じゃないけど、Cornell Campbellは好きとか、そもそもジャンルとしてのダブが大好きなのかどうか自分でもよくわからないけどミニマルダブとかRhythm & Soundばかり聴いてるのは、これも音のニュアンスというか、この、ここしかないこの感じ、というものを好きで聴いているのだが、それが結果的には好きということになるのか。
レゲエダブ系は、そのそもの成り立ちとして、楽曲的には壊れてしまってもかまわないから、とにかくより重く、遅く、都度の衝撃とアタックを重視して、サウンドの一部分の極端な誇大化を図ったというところがすごかった。たぶんこの精神がそのままテクノなどのクラブミュージックおよびエレクトロミュージックを成立させる基盤となっている。電子の力で、音を増幅させてスピーカーから出す。この単純なすごさの追求。シンプルであるがゆえにからくりが全部透けて見えている気持ちよさ。にもかかわらずこの奥行きの分厚さ。クリシェの連続だけが醸し出すことのできる曲ぜんたいにまとわりつく得体の知れない香り。
音楽を聴いていると、音楽を聴いていないときの静けさばかり考えている。音の背後にある静けさ。
リバーヴとディレイ。むかつくようなやかましいサンプル音が何度も何度も反復され、二拍目と四拍目の間を暴力的に埋める。そのとき、生々しくそこにあったはずの静けさのことを思う。
ばかばかしく滑稽で、子供だましのこけおどしの、風呂屋のペンキ絵以下の、どうしようもない低俗な低劣な音楽。劣化した、電子的雑音と混ざり合った、特定周波数に集中した、耳障りな、ただ生成するだけで人の神経を逆撫でするような、市民社会と地域公共性に真っ向から刃向うような、そんな音。
Lee "Scratch" Perry しかし、どれを買えばいいのか。
すごく眠い。やがて眠る。
翌朝、かなり早く目が覚めてしまった。4時間くらいしか寝てない。でも起きてしまったからしょうがない。
まずは水泳しようと思って出かけた。ランダムに音楽が再生されるのをヘッドフォンで聴きながら歩く。
プレイリストはテクノとハウスとR&Bとジャズとそれ以外で分けてある。で、iPhoneのアプリで有名なやつで、djayというのがあって、つまりDJプレイができるやつで、僕はこれをもっぱらautomixつまり自動再生にのみ利用している。特定のプレイリストの曲同士を勝手にピッチ合わせしてそれなりな繋ぎ方でMIXしてくれるのである。これは、まあ機械のやることだから大抵はバカな結果になるのだが、たまに驚くような素晴らしい繋ぎを実現してくれることもあって、なんだかんだ言っても、たぶんもう二ヶ月か三ヶ月くらいこのアプリで音楽を聴いてばかりである。
で、いつもは前述のジャンルわけされたリストのどれかをセットするのだが、今日は間違えて全部を一緒くたにセットしてしまい、そしたら最初にWynton KellyのPortrait Of Jennieがかかった。ジャズをたくさん聴いてるわけではないけどWynton Kellyはわかる。とくに後半がWynton Kellyだとわかる。そしたらそれにかぶさるようにIntrusionのA Night To Rememberに繋がった。これはミニマルダブで、普通はありえない流れ。しかしこれがハマッた。感動した。夏の朝だった。今日はこの再生を止めるわけにはいかないと思って、そのままそれを聴き続けながら御茶ノ水のレコード屋へ。
御茶ノ水ユニオンの本店。Deadbeatの新作が売り切れていた。あれば買ったのに。それで、それ以外は何もほしくない。レゲエコーナーは、これだけしかないとは知らなかった。
暑い。すさまじい日差し。駅前の交差点で歩行者が信号待ちをしている。女性が一人だけ、そろそろと、前に歩き出す。左右をみて、車が来ないのをみて、そのまますたすたと歩き出す。炎天下の日差しの下、それを、皆が見ている。
御茶ノ水ユニオンはさんざん来てるけど、diskunion JazzTOKYOには今日はじめて行った。すぐ近くなのに、今まで来たことなかった。来てみて、何これ超おしゃれじゃん!と驚いた。そして品揃えもすごい。とりあえずSteve Coleman & Five Elementsの最近のアルバムを数枚中古で買えたので良かった。
Lee "Scratch" Perryは、今日は買わなかった。
神保町まで歩いて、三省堂へ。吉行淳之介「原色の街・驟雨」、幸田文「流れる」、バラード「時間都市」を買う。
そのまま神田まで歩く。神田から山手線で御徒町。御徒町でワインを二本買う。
上野まで歩く。駅前の、昔さんざん行った店が閉店していた。アメ横の中の色々な店も細かくはどんどん変わっていく。
暑い。そして、さっきから何か飲もうと思っている。ビールを一杯飲もうか、とか。しかし、どの店でもそれは可能だが、どの店でもそれを実現させたくない。
ビールなんて、たかがビールなんで、なんでもいいのだが、しかしそれなら家で飲むのがいちばんうまいという話になる。それは実際そうである。しかし、そうではなく、外で飲むなら、あの店ならいいと思える店がない。ビールがどうというより、その店のその席に座って、ああ良かったということじゃないといけない。こういう夏の日中だから、建物の影に入ってしまってはダメで、外に近い場所じゃなければいけない。でも、大統領やたきおかとかの立ち飲みとも違う、もう少し違う感じの、とにかく、そういう店を、知らなければいけないなあと思いながら、結局どこにも立ち寄らずに帰る。
帰って、ビールを飲んで、新聞読んだり買った本を読んだりしてたら、いきなり寝てしまって、はっと気付いたら夜の八時だった。
シャワーをあびて、簡単に食事の用意。グレープフルーツを冷やしておいて、あとで剥く。