「蜘蛛女のキス」をDVDで観る。この映画は中学生のとき封切り時に観て以来の再見。でもまあ、大体覚えていたというか、こんなもんだったか、という感じ。最初から最後まで、ほとんど監獄内が舞台で、ウィリアム・ハートが釈放されてからラストまでの短い時間だけ、ブエノスアイレスの外の街並みが出てくる。
ウィリアム・ハートの最期の死に方が、かなり素敵で、まるで西部劇みたいな、胸を打ち抜かれたまま、何事もなかったかのように、ぼんやりとした顔で歩く。そのまま広場みたいな場所に来て、両膝をついて、周囲を囲まれて拳銃を突きつけられても反応しない。ブルーのシャツの胸には穴が空いているが、あまり出血しない。車に乗せられて、後部座席に横たわって、唾液と血液の混じった薄い液体が口元から溢れて流れる。視線が動かなくなる。表情がかたまる。あー、…死んだ。
そういえば、たしか昨日か一昨日、NHKで「世界ふれあい街歩き」のブエノスアイレスがやっていた。「世界ふれあい街歩き」自体見るのが久しぶりだったけど、ブエノスアイレスはまことに素晴らしくて、画面から目が離せなくなる。ちなみに、この番組で「素晴らしい!」と思うとき、必ずしも「この場所に行きたい!」と思っているわけではなくて、そういうことは別に「素晴らしい!」と思っている。むしろ、その場所に実際に居ないということに拠って、そう思っている。