朝の横浜方面に向かう京浜東北線の、品川を過ぎて、ガラガラの車内で、本も読まないで、音楽も聴かないまま、ぼけー、とそのへんを見ていた。ちゃんと前から後ろへ、右から左へ、モノの動きに合わせて音が移動して、あたりの空間も大らかでしっかりと充実した空洞内部の感触があって、あらゆるものと自分との距離が計ろうと思えばすべて計れるのだと思える確かさがあって、時折光が遮られたように翳ったり、一瞬の眩しさが生じたりもして、あらゆる瞬間にものすごく臨場感があってとても面白い。