レンタル


今日はすごく、何もしなかった。


ゴダール・ソシアリスムがないかと思って、地元の駅前のレンタル屋を丹念に探したがなかった。何年か前まではあったような気がしたのだが。


そのレンタル屋は最近、棚やレジカウンターの位置を変更したようで、その変え方がとんでもなく大幅で、なんと言ったら良いのか、たとえば店というものがレジカウンターを中心とした広がりをもつある種の構造としたら、今まで記憶にあったその店のそれが、いきなりぐるっと反対向きになって、しかも各棚の配置は、それまで横だったものがすべて縦になったみたいな、もはや店内に入ったと同時に予想と全く違う空間があらわれたので、三半規管レベルに来て酔いそうになった。


ちなみに、映画「湯島天神駅」だが、そんな映画は存在しないのである。そもそも、湯島天神駅も存在しない。これは前に、夢で観たのだ。夢だが、たしかに観たことは観たので、どうしても存在するような気がしてしまう。上野の山の頂上近くに駅があるのだ。駅周辺にはいくつかの店があって、もうもうと湯気が立っていて、幾人かが壊れかけたテーブルに座ってコップ酒を飲んでいる。切符は百二十円である。改札を通ってホームに立つと、ケーブルカーが発車間際のベルを鳴らしている。出発して、ゆっくりと傾斜を下る。乗客はまばら。到着地はおそらく、上野広小路の手前あたりだ。すごく無駄というか、存在価値がほぼない乗り物だと思うが、こういう謎の交通機関というのは意外によくあるものだ。