まよい


どこかへ寄るとして、店はどこがいいのか

何を飲みたいのか、何をどのくらい、どのくらいの時間

そのあいだ、黙っていたいのか、喋っていたいのか

沈静した時間、あるいはざわついて活気のある時間

どちらがいいのか、それをまず決めるなら

ほぼいつでも自分は、静かに黙っていたいのだが

しかし、いつもどおりの方を選んで、しかしそれはそれで

それが常に最善の選択、というわけでもないとは思っている。

とくに今日はそう思っている。

座って、黙って俯いていたいわけでもないし、

運ばれてくるグラスや皿をじっと見ていたいわけではないし、

目の前を漂うとりつくしまのない時間を、ぼんやりと眺めていたいわけでもない

そんなことを、したいわけではないのかもしれないが

しかしいつもそれを選ぶし、そういうことをしに行く。

これから行って、席に座ったら、そういうことをするだろうなと想像する。

それは楽しいことだが、楽しいと言っても、言うほどでもない、さほどでもない。

さほどでもないことを、あえてしようか、どうしようか、その迷いだ。

そうなのだ。迷いだ。