はなればなれに、死刑台のエレベーター


いまさら人に言えないけど実はまだ観てない名作を観ましょうという事でゴダール「はなればなれに」観た。


すごい。。カッコいい。これはかなり「ベイビードライバー」だ。どこが?と言われても困るのだが、いや、車が出てくるし。


車がびゅんびゅんと走っているパリ市内、まるで埼玉や千葉ではないかと思われるような、妙に湿った感じの暗いパリ郊外の風景。華やかなようでそうでもないみたいな、けっこう若者的な時間のリアリティが匂い立つような感触を受けた。


デカイ安全ピンが付いたチェックのスカート、サイズ大きめなニット、帽子のアンナ・カリーナ。ものすごく80年代な雰囲気の服装。それは逆に80年代の方がある意味ゴダールっぽいからだろう。こういうチグハグな組み合わせが、ものすごくかっこよくなってしまうワザの冴えがすごい。あの有名な三人揃ったダンスシーンもまさにそんな感じがする。今や懐かしくなってしまった凄さとも言えるが、しかし今でも充分に凄い。惚れ惚れするほどに。


続いて、妻が観てないというので「死刑台のエレベーター」。


おお、意外と「ベイビードライバー」だ。あるいは意外と「はなればなれに」だ。どこが?と言われても困るのだが、いや、若い男女だし、自動車競走だし。愚かな二組の男女、ではあるが、ジャンヌモローは貫禄のある不機嫌顔で、あんたたちガキのくせに調子に乗ってんじゃないわよ、ガキの遊びでこっちはいい迷惑よ、よくおぼえておきなさいほんとうの愚行っていうのは私たちみたいなのを言うのよ、とか無言で威圧してくる感じ。男はどちらも、頼りないというかほとんど役に立たない。