今朝はいつもの通勤リュックサックの他、昨夜のうちに妻が荷作りしておいてくれた旅行鞄も抱えて出勤する。今夜から横浜宿泊。職場とホテルとの往復生活がはじまる。

 

退社後、徒歩五分くらいのホテルへチェックインし、食事はどうしようかと。近所に知った店はいくつもあるけど今やほとんどの店が通常営業してないし、ひとまずホテルのレストランでいいかとなって上の階へ向かう。店は予想通りガラガラ、夜景の見える窓際の席に、愚かなまでに幸福そうなカップルが二組、がらんとした店内にささやきと笑い声を小さく響かせながら、それぞれ離れて座ってるだけ。僕は店奥のベンチソファー席の端に案内され、そこに座ると窓際以外に誰もいない店内全体が見渡せる位置だった。大箱なのにフロアにいるサービス係は二人だけで、客も数人だからそれで充分だが、用があるときこちらに気付いてもらうのがたいへん。それにしても見事なまでに「すでに終わった感」が濃厚な、すでに地球上の全人口が半分以下になってしまった世界の片隅で細々と経営しているホテルのさびれたレストランにいるかのような雰囲気とでも言うのか、ちょっと、いい感じ。料理は最初から期待してなかったけど、このご時世で通常時から大幅に絞り込んだメニューしかなくて上手いも不味いもなかったけど、それも仕方なし。ドリンクメニューが通常通りなだけで充分。

 

食事後、少し外を散歩する。でかいビルとタワーマンションが群立してそれぞれ気の狂ったような光でお互いを照らし合っているのに背を向けて、橋の下を見下ろす。夜の黒くのたうつ海の波間をじっと見て絶え間なく届く水の音を聴いていると、子供の頃の親の実家の港町を思い出す。

 

見上げると、巨大な月。