鍋物の美味しい季節でございます。鍋は簡単だし冬の食事としてとても満足感が高い。正直、この時期なら毎晩鍋でも嫌ではない。

スーパーには鍋に入れる出汁スープが各種並んでいる。あれはあれで、たいへんよく出来ていて、野菜だの肉だの魚だのを適当に入れてあれで煮立てれば、ふつうの居酒屋に出てくる鍋料理と大して変わらないものが食べられると言える(あくまでもふつうの居酒屋レベル)。簡単だし時間もないのだからそれで充分だとも言えるが、もともと鍋は手間いらずだし、色々な食材から出る旨味こそ鍋の美味しさの中心だろうし、それを最初から既成の出汁スープで味を決めてしまうのも面白くないというか、とくに魚介を豊富に入れるならば、出汁はその素材感を生かした方がよいと思っている。

鯛のあらや銀鱈、帆立や牡蠣とネギだけを、生姜、昆布、日本酒、水、塩だけで鍋にして食べた。食べてみると、醤油すら必要ない。塩加減だけで十分に美味しい。とくに食べ進み酒が進めば進むほど、味わいが素朴なほうが美味しく感じられると思う。出汁ごと飲むから、はじめからあまり濃いと食べ辛いので、食べながら調整するのがいいみたいだ。