渋谷にあるイメージフォーラムという映画館には、確かめると過去にも数回、およそ五年に一度くらいは行ってるようなのだが、行くたびに、あれ、こんな場所だったか、全然記憶にないよと思う。先日も前回時の記憶をまったく思い出せないまま渋谷駅を降りて、さらに渋谷駅が最近やたらと工事して様相を変えたこともあり、あと自分らの地図を見るセンスがイマイチなのもあって、現地に到着するまで、かなり遠回りをすることになった。しかもこの場所ならば表参道から歩いた方がよほどわかりやすいというのを事後に気づくのも、このたびで何度目かわからない。
そんな自分の記憶力の悪さは棚に上げるとして、自分は今後、渋谷に用事があるならできるだけ渋谷駅を使わず目的地へ向かいたい。渋谷駅は渋谷駅として提唱したい利便性や快適性というものがあるのかもしれないが、自分はけっこうです。渋谷にかぎらないけど、駅そのものの大きさと駅周辺の広がりが一定範囲を越えてしまうともはや付き合いきれないと感じる。ただ機械的な歩行移動を一方的に要求されているだけのような気がしてしまう。これは駅を出て目的地まで歩くことを否定するものではなく、それならむしろ多少遠くてもかまわないくらいだが、そうではなくて駅の内だか外だかわからないような、誰かの都合や思惑で作られた幾つもの仕切りを迂回しながら矢印にしたがわされて歩かされるのは勘弁願いたいと思うものだ。
などと言ったところで、おそらくそうも行かないのだろうな。今後、ますますカオス状態になって本気で外と中が不分明になって、自分の立つ場が渋谷駅構内なのか外なのか別の駅なのかさっぱりわからなくなるとして、でもすでにそうなっているとも言えるし、単なる慣れの問題に過ぎないとも言えるか。