朝の負荷

最近、お酒から身体が受ける負荷について意識することが多くなった。すこしのみ過ぎると、翌朝にはっきりとダメージを感じるようになった。

酔いが残っているというのではなく、強い睡眠不足感をともなった目覚めになる。眠っていたはずなのに眠りの質がいちじるしく低かったことに、目覚めと共に気付くという感じで、そうなると心身共にかなり劣悪なコンディションで朝を迎えることになる。

睡眠中に稼働していたアルコール分解の働きが、身体そのものを休ませてくれないのだと思う。若い頃なら、猛然と眠りのなかにとどまっているだけの体力があったのだが、最近は眠り続ける持続力が弱い。入眠後数時間でかならず一度は目が覚めるし、あとは途切れ途切れの睡眠をなんとか継続させて朝を待つような感じだ。六時間とかまとまって連続で眠ることができたのははるか昔のことになってしまった。

もっとも、多少の睡眠不足なら日中あまり辛くは感じない、眠りを欲する欲望(それが得られないことの苦痛を感じ取る力)も低下しているだろうし、日中ふつうに起きて活動する生活リズムは、もう何十年も続いている心身の習慣として定着していて、そのせいで仕事中に睡魔におそわれるようなことは稀だ。これは体力によるものではなくて、単なる慣性の法則である。

お酒の量も、昔とくらべて少なくなったのかと言うと、じつは別にそんなことないのだ。のむときはずるずると、わりと際限なくのんでしまっているけど、激しい酔いに苦しむことは最近ほとんどない。これも長年の飲酒でアルコールの摂取力も身体の反発力(遺物抵抗のため苦痛を感じ取る力)も鈍くなっているからだと思う。若い人よりも中年以上の方が大量にのめるのはそのためだ。

しかし目覚めた瞬間だけは、生々しい負荷を一瞬だけ感じ取って、起動したばかりの身体がその苦痛を表現したかのようだ。まるで実際の支払金額の請求書をちらっと見せられたみたいに、その一瞬だけ「真実」を見せられたみたいだ。