NetFlix深作欣二仁義なき戦い」(1973年)を観る。はじめて観たのだけど、さすがに「痛そうな場面」は、だいたい知ってた…。あれよあれよという間に人が入れ替わり、暗殺され、また別の者が台頭して、その展開がめまぐるくて、バタバタと大慌てであっという間に映画が終わってしまう感じだが、「ゴッドファーザー」がそうであるように、本作もまた組織と個人との干渉、軋轢、その苦しみがテーマであるのだなと思う。ただ「ゴッドファーザー」が組織の存続→その核は家族を瓦解させてまでも成し遂げられるべきか?をテーマにしているのに対して、本作は個人や兄弟分の契りといった個的納得感と組織化とが両立できるか?できるならそれはいかなる形によってか?をテーマにしていると言えるかもしれない。そして「ゴッドファーザー」の重厚感や思わせぶりな格調高さがないかわりに、本作にはみなぎる活気とスピードがある。とにかく群集劇としての勢いがすごくて、人と人とがぶつかり合い絡み合う様子が、彼らと一緒になって揉みくちゃにされるかのように、各場面をカメラがとらえているといった印象だ。