根津から上野、御徒町、湯島まで歩き、湯島の和菓子屋で、妻がぜんざいを、ぼくはところてんを注文する。お店でところてんを食すのは久しぶり。前回はずいぶん前、上野のあんみつ屋だったはず。甘味屋に行くと、ぼくにはそれしか選択肢がないのだ。それにしてもなぜ、ところてんがメニューにあるのか不思議に思ったけど、つまり寒天だからと、ようやくそれに思い至った。
お店のところてんは、さすがに美味しそうな見た目である。突き出されてゾロっととぐろを巻いて器に横たわった姿も、その角の立ち方なんかも、なかなかきれいに見える。
こんにゃくが土の香りを感じさせるように、ところてんはかすかな潮の香りを感じさせる。しかしところてんは、どこで食べてもやはり酢醤油の味が強すぎで、自分でも三杯酢をつくって、これまで何度か試したけど、どんな塩梅なら良いのかの見極めが、非常に難しい。最初だけ良くても、後になると刺すみたいに濃く感じてしまうのだ。
季節外れだからかもしれない。また夏がきたら、試してみればいいのかもしれない。