起きるくらいなら死んだほうがまし


朝が弱いので、起きるのはいつも苦痛だが、今朝の目覚めは、いつにもまして辛かった。目覚めた直後の、今の自分が、目覚めたのだという事に気づいて、その事自体にいきなり絶望して、打ちのめされて、そしてその後、地獄の苦しみが襲い掛かってくるのであった。これほどの凄惨な苦痛の状況から、自力で立ち上がり、全てのシステムを活動開始させるというのが、ほとんど途方もなく非現実的な、ありえなさに馬鹿馬鹿しくなって笑いたくなるほどの、まったく荒唐無稽な絵空事に思えるほど、身体の精神のすべてが、、四肢の制御を完全に放擲したまま、いつまでもただひたすら、眠り続けることのみを欲しているのであった。


でも結局は、それから10分くらいして、とりあえず起きてしまうのだから、僕もなかなかすごい。でもものすごく疲れているし、ものすごい勢いで眠い。コーヒーをいれたりする元気もない。要するにまだ眠りの芯の部分は身体の中心にしっかりと残存している状態で、目を瞑れば状況を問わず瞬時に眠りの方へ行けてしまう状態のまま、かろうじて動いている。腕から指先にかけて、まったく力の入らないままなんとか衣服に身を包み、通勤用の荷物を抱えて、靴を履き、玄関をあけて、どうにか、駅へと向かういつもの道を歩き始めるが、依然としてあまりにも眠く、身体もくたくたなので、歩きながらついあたりを見回してしまい、どこかで少し体を横たえて眠れないだろうかと真剣に考えた。