新宿の待ち合わせ場所に五人集まった。久々に来ると新宿には若者ばかりで、まるで高校とか大学の敷地内のような場所に思える。この自分も含む五人がいつもながらすごいダラダラとした感じで目的もなく買い物などするが、誰も仕切らないから異常にダラダラとした流れになってただ歩く。普段ならありえないと思うような非効率的というか流浪、彷徨、迷走、惰性の感じの動きだけど、この集団の場合はいつもこれでいいというか、これしか出来ないので、まあそれでいいのかと思って、いつもそのままそれに従ってるだけ。はじめからさいごまで雨でどろどろと空間全体がグシャグシャになっていて、でもこれなら傘を挿さなくてもいいかと思えるくらいまで雨脚が弱まるときもあったが、それでもしばらくするとまた降りだし、でも次のときにはまた弱まり、そのくりかえしのそのたびに傘をばっと開いて挿したり、閉じて濡れたもののまま畳んで、またばっと開いて濡れた傘の表面を張ったりして、そういう挿してるときと閉じてるときの割合というか、雲行き的な何かのなかでどちらでもなく重ねている周回的なものを含めた意味で、何しろすべてがだらだらとしていて曇っていて湿気にまみれているから、雨の降り方のダラダラした何かの元にうごめく者達のまた歩きはじめる様子を後ろから無言で追った。最後は渋谷のどうでもいいような店に入って四人がビールを注文したが、一人が注文した別の何かがなかなか来ず、四人のビールの泡が全部消えたころにやっと来た。乾杯したが誰もグラスをとぶつけ合わせずに五つのグラスが空中に浮かびゆっくりと下がるだけだ。