劣悪な音質
液晶画面の光
電車が駅に着いた。
ドアが開いて、出口へ歩く。エスカレーターの歩いてる方の列にに付いてばたばた駆け下りる。
ぐしゃっとした人の塊。中央口。人と人が、電子と粒子みたいに行ったり来たり。
人間が余って、人間が余って、もうこれ以上、はいりきらない
片っ端から電話しては断られた、金曜日の難民候補。
遅れた一人ももうすぐ来る。
ふと見えた。誰もいない、駅の西口。
日差しが強い。誰もいない。
行き交う人も車も少ない。白い空。平日の田舎の午後の景色。
タクシー一台。バス乗り場にバスが一台停車している。乗降ドアは開けっぱなし。エンジンは止まっている。
運転手さんが喫茶店でスパゲッティを食べてる。
どこか遠くから鳥の鳴き声が聞こえる。
そのほかの音はなく、とても静か。