グレーズ


ブイヨンを加えて、水分がなくなるまでかき混ぜながら加熱して、またブイヨンを少し加えて、また加熱して、それを繰り返すのは、面倒臭いことだが、これって古典絵画技法のグレーズなんかもそうだよなあと思う。ヨーロッパの考え方というか、いい方法を考えているうちに、手間を描けることの負荷がどっかに行ってしまうのだろうな。薄く溶いた絵の具を一層重ねて、乾いたらまた一層重ねて、そうやって何層も重ねることで最終的な仕上がりを決める。もちろん、そんなことをしなくても、一層だけ重ねて、これで終わりですと言ってもかまわない。でも、それはそれだ。それは一層だけの仕上がりというだけであって、何層も重ねた結果とは違う、というだけだ。ブイヨンを少しずつ加えて加熱も同じこと。一回で全部加えてそのまま加熱でもかまわない。でもそれは、そうじゃないやり方と違う味わいだよという、それだけのこと。だけど、面倒臭い。たしかに。