木炭

最近ぼやっと感じていること。なんとなく、木炭で絵が描きたい、風景を描きたい。パステルでもいいのかもしれないが、木炭がよりのぞましい気がする。粗い表面の紙に、あの肌理の細かい墨の粒子を繊細に置いて捺し広げて、つよく擦ったり拭き取ったりしながら、途中でやめるのがわかってるパズルに手を出すようにして、あえてそれに取り組んでみたい。木炭は伊研の№360で、消す道具は、昔ながらのやり方で食パンを使いたい。食パン一斤をそのまま紙にあてて、大きく広い面積の墨をざっくり取ることができるのがいい。それで遠くの景色、たとえば荒川沿いの広大な景色を、単色の諧調に置き換えて、いつまでも紙の上で試行錯誤していたい。

そもそも、よく考えたら木炭を使って絵を描くなんて、屋内では、少なくとも自宅の部屋ではテロ行為に近い。木炭を使って描くというのは、煙のように舞い踊る煤を、空気中にのべつまくなし撒き散らすということである。数時間もそんな振る舞いを続けていたら、それはそれはもう、床も壁も大変なことになるし、自分の顔だって口腔内だって同様だ。鼻をかんだらティッシュは真っ黒である。すなわち屋内では無理。公園や河川敷などの屋外でしか出来ないことだ。花火みたいなものだ。そう言えば、もたもたしてるとすぐ夏だな。夏になったら屋外も無理だろう。じゃあやっぱり、言うだけでやらないかもしれない。そもそも、そんな大げさに真剣にじゃなくて、それこそ酒でも飲みながら、ちょっと描いて、飽きたら適当に寝転んだり、気が向いたらまた描いたりしながら、遊びでやりたいだけなのだが。