良い箇所

小説内の2、3ページにわたって書かれているある出来事がたいへん良くて、このことを文章でここに書きたいと数日前から思っていたのだが、上手く書けない。こういうことが書いてあるのだと、要約することができないし、それの何が良いのだと説明することもできないと思う。そうなると結局、いいと思った箇所を引用することになるのだが、いや、そうではなくて、どうにかもっとやりようがないかと考えてみる。あまり大げさに考えず、力を抜いて、ささっと軽く書いたら、かえって上手く良さが出るのではないか、などと思って、ちょっと書いてみたりもするが、ぜんぜんダメなので途中であきらめる。この良さは、書いてあることの良さでもあるけど、書いてある動きの良さでもあるのだと思う。だから書いてあることだけで考えてもダメで、目の前のこの書いてある感じも含めて良いと思っている。ほんの数十行に過ぎないが、それに掛かる短い時間にも良さが分配されている。それもすべて込みで良いのだということを伝えないといけないのだが、それはかなり厳しい。