A Love Supreme: Live In Seattle

昨年発掘されたという、ジョン・コルトレーンの「至上の愛」ライブ音源を聴く。1965年はまだ、コルトレーンマッコイ・タイナーエルビン・ジョーンズとは袂を分かってない。本作「至上の愛」のライブ演奏のメンバーはコルトレーン最強カルテット+ゲストの編成であるが、聴いたらなにしろ、エルビン・ジョーンズがいつもながらすごかった。あなた絶好調じゃないですか、と言いたくなった。

自分にとって後期コルトレーンといえば1966年の「Again!」に尽きるのだが、本作はその前年、まさに後期コルトレーンが始まろうとする時期とも言えるし、ある意味この時期が「フリージャズ」のコルトレーン全キャリア通じて、最も激しい時代だっただろうとも言えるようなもので、四楽章に分かれてそれぞれ印象的で象徴的なテーマ部をもつ「至上の愛」という楽曲の枠が、もうすでにもたなくなりつつあるというか、崩壊の一歩手前という感じもする。

「Again!」収録の"Naima"や"My Favorite Things"になると、曲の骨格はもはや各関節をはずされていくらでも伸縮可能な具合に思え、だからこそなのか、有機的な演奏の合間にふと聴こえてくるテーマ部周辺の旋律がこのうえなく美しく響くのだが、この「至上の愛」ではまだ「至上の愛」という楽曲構造と各メンバーのソロプレイとが干渉しぶつかり合っているようで、それが気になるとも言えるし、そここそが良いとも言える。