寒さが厳しい。いよいよ冬らしく、景色ぜんたいが重くて暗い。飄々と行く。コートが新しいので、着ているものの表面で寒さが跳ね返る。ごわごわとした感じがして、腕を伸ばしたり座ったりし辛い。座ったらそのうち眠った。起きて歩く。上半身が蝋漬けしたかのように固まってしまっている。かまわず二本の足だけ交互に動かしてどんどん歩く。息が止まりそうなほど冷たい風が吹き付けてくる。周囲と同じ歩調でとにかく同じペースで歩く。暗い朝の始まり。重い時間の流れ。淡々と歩く。