石原慎太郎「わが人生の時の時」を読み終わる。石原慎太郎初体験。おぉ。。そうか、こういう感じなのか。なかなか、これは素晴らしいと言わざるを得ない。数十篇の短編で、ものによっては、ちょっとこれはとか、こういう人が組織のトップをやってるのは恐ろしい話だなとか、たぶん毛嫌いする人も多いだろうとか思うのもあるけど、良いものは実に、掛け値なしに素晴らしい。やはり海、船をテーマにしているやつが飛び抜けて良い。圧倒される。たぶん人間の力をはるかに凌駕するような自然の猛威とか動物の動きとか病気とか、そういうのを描写するときの、何か身体的な危機に立ち向かうときの自己陶酔的な高揚感というか快楽のようなものが溢れてくるのをぐっと抑えていて、その抑えの効き方がすごくいい感じである。