反文学論

柄谷行人の「反文学論」を図書館で借りて読んでいたのが先週のことだった。。もう辛辣きわまりないというか、ダメな作品を貶すときの言い方がキツ過ぎでそれが面白くて、「反文学論」は1977年から1978年まで東京新聞に連載された文芸時評で、ちょうどデビューしたばかりの村上龍時代の寵児だった頃だ。当時の柄谷行人にとって「枯木灘」を刊行した時期の中上健次であり、すでに大御所ながら最新の海外の批評動向への緊張感も失わない大江健三郎であり、そんな作家の存在感は大きかったのだろうけど、それはそれとして時評の一年余り分を通読すると、小島信夫田中小実昌の両名がところどころで目立つのが印象的だった。もしかして柄谷行人にとっては小島信夫こそが、最上級ランクの「おもしろい」小説家ということだったのじゃないだろうか。

(「おもしろい」とか「だいすき」とか「自分にとって重要」とか「好きじゃないけど無視できない」とか、良いと思った作品がどのように良いと感じているのか、それは人それぞれで、さらに自分ランキングにしたら、どれが上位に来るのか?も、やはり人それぞれだろう。)