自室で、それなりに大きな音で音楽を聴いているのは楽しい。だがイヤホンで聴くのが、最近はどうも気が乗らないというか、聴いていてもあまり楽しくないと感じがちだ。同じ曲でもイヤホンで聴くとかなり違って聴こえるものだが、その違いが、新鮮さや面白さに感じられないことが最近多い。生まれてはじめてイヤホンやヘッドフォンで音楽を聴いたときの、頭の中に音響が立体的に再現されたときの感激は今でもおぼえている気がするけど、長年なじんだ自分の頭の容量というか、音を反響させるうつわのサイズ感そのものに飽きたのかもしれない。それにイヤホンで音楽を聴いているというのは、移動中とか電車の中とか、大抵何か別のことをしながら聴いているので、そういう聴き方に飽きてきたところもある。そもそも移動や電車内という体験と音楽との混ざり合いこそが面白かったのだが、そう感じる部分が減ってきたのだと思う。