南仏

川村記念美術館で「芸術家たちの南仏」展を観た。こじんまりとした展示だったけど面白かった。アンリ・マンギャンとか、アンリ・マルタンとか、アンドレ・ドランとか、当時マティスと親交があり、共に同じ方向性をもって制作を続けていた画家たちの作品が、結果的にニース時代のマティスの仕事の、彼のインスピレーションを支えていただろう感覚的なものというか、これはマティスの頭の中だけにあったのではなくて、交友関係のなかでしっかりと共有された、ある方向性というかムーヴメントとして進行したものだったのだな…と。そのことを各作品が説明してくれているようだった。フォーブ派や、ニース派とでも言いたくなるそれらの作品は、おそらくマティスのクオリティには拮抗できてないのだが、だからこそ観る者に対して、より強く伝わってくるものがある。当時の風土、環境、時代の雰囲気のなかで、仲間たちに触発され、感覚的にこれで進めると見極められた何かが、そのまま画面上に残されたままな感じもある。

それにしても、送迎バスの車窓から見えるこの季節の、千葉県佐倉市の田園風景と来たらじつに凄い。こんな猛烈な色彩と光の目まぐるしいイメージを見せられて、この美しさに対抗できる美術作品って、なかなか無いよねと思う。