薄切りにした玉葱約一個分を真っ白に敷き詰めた上に、切り身の鰹を並べて生姜を添える。たまり醤油をかけると、白い玉葱が一挙に醤油の色に染まる。この濃い色が、鰹から溢れた大量の血液を思い出させて、味わいのインパクトを予感させる。辛みをともなった玉葱の水分は鰹に中和しつつ、余分の脂質や夾雑物までも洗い流してくれるかのようだ。
ひたすら、玉葱と鰹の刺身ばかり食べている。それを一週間のうち一度も食べなかったことが今年は皆無と思われる。クレソンやルッコラを大量に食すために牛肉の助けを借りるのと同じく、玉葱を大量に食すために鰹の助けを借りている。