Apple TV+でアルフォンソ・キュアロン「ディスクレーマー 夏の沈黙」一話と二話を観る。ケイト・ブランシェットと夫の自宅にせよ、彼女の職場にせよ、ドラマ本筋ではないけど、カメラに映り込む背景の、すばらしい贅沢さ。こういう立派さは、日本のドラマにはないのだ。日本のドラマにないのではなくて、日本にないってことだろうけど。

若いカップルの若者らしさ全開のイタリア旅行の大騒ぎも、ほとんど度を越えている感じがするのは、それだけ自分が日々地味に生きてるからだろうな…と思う。それにしてもやたらと元気に性欲全開でひたすらエネルギッシュで、画面から漂うこれほどまでに濃厚な性的芳香も、日本の劇映画にはないものだなあと思う。(「ナミビアの砂漠」の若者たちも、若者ではあるけどこれほどまでの「ガキっぽさ」はない。)

過去の過ちがバレたケイト・ブランシェットが、必死になって死に物狂いで夫に言い訳して、それでも聞き入れられなくて…という二話最後の場面、こんなコテコテに、必死になって、悶えるように苦しい言い訳をする人物を演じるのは、きっと楽しいだろうなと。実人生では決して体験したくはない、地獄の瞬間であればこそだなと思う。