2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧
映画を観て、それが良かったとか悪かったとかは大して重要な問題ではなくて、あとである場面をふと思い出したり、ある登場人物の仕草や表情を思い出したりすることのほうに切実さを感じる。 そのように思い出されたものは、映画の記憶というより、すでに映画…
とてもいい天気だった。上野は人でごった返してた。根津駅から藝大を経由し上野公園を抜けて御徒町まで歩いた。さらに不忍池もこえて池之端門から東大構内に入り弥生門から抜け、坂を下って根津駅に戻った。途中、吉池で魚を買い古本屋で本を一冊買った。 安…
腕を、あるいは手を使った動作において、人はそれをほぼ無意識に行う。とくに指がどのように動いて目的を果たしているのかを、事後的にきちんと思い浮かべることはできない。五種類の指がおそろしく滑らかに連動して、一連の動作を完了させているのだろうが…
ジョアン・ミッチェルの画集を、初めのページからゆっくりと見ている。50年代の作品群を何度も見返す。その先のページまで慌てて進まないようにしている。
今日もあの会。古い友人らとの会合のことだ。前回は一か月ほど前、前々回は二か月前である。月例会になりつつある。 前回も今回も、一人ないし二人くらい新たなゲストが招かれる。その意味では毎度、久々の出会いが仕組まれているわけだが。 しかし凝りもせ…
ゴールデンウィークのご予定は?と聞かれると、とくにないですねえと答える。どこも混んでますしね、わざわざ混雑するときに出掛けなくてもねえ、などと付け加える。貧乏暇なしですから、みなさんと違って、わたし働かないと生きていけないですからとか、そ…
J.Gバラード「結晶世界」読み終わった。舟で河を進み、軍によって立ち入り禁止とされた区域の奥深くへ向かうと、そこでは何もかもが結晶化しつつある。明らかに世界の滅亡と、我々すべての死の予兆であるにも関わらず、主人公サンダーズ博士とその恋人スザン…
ペット・ショップ・ボーイズの"セ・ア・ヴィダ・エ"が脳内ループ中だ。これもまた90年代を強く感じさせる曲だ。ラテン寄りなテイストはまさにあの頃という感じだ。 1986年の"ウエスト・エンド・ガールズ"をベストヒットUSAで知ったときは中学生だったけど、…
後続の車両が、車内で具合の悪くなったお客様を救護するために停車中である。そのためこの電車も、しばらく運転を見合わせる。そんな車内アナウンスを聞いたときに、車内で具合の悪くなった部品の交換をついイメージする。 これだけたくさんの部品で構成され…
誰かが部屋に入ってきたので、あわててペンを置き、書きかけの手紙を畳む、そんな、小説とか映画によくある場面。昔じぶんが、父親の部屋に入ったとき、まさにそんな感じで、父があわてて書いてるものを隠したことがあった。 とくにこちらからは触れないとい…
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下でマノエル・ド・オリベイラ「アブラハム渓谷」(1993年)を観る。3時間20分。この流れ、この語り口から受け取るものの厚み。(そして座席から離れた身体にずっしり残る重い疲労感) なぜこのような形式と時間を必要とするのか、そ…
RYOZAN PARK巣鴨で「小説的思考塾vol.20+山本伊等 『想像の犠牲』を語り合う」へ行く。以下は自分のなかで考えたこと。 ヒロイズムとかナルシシズム的ではなく、また自己奉仕とか無償の精神とか対象に尽くすかたちでもない、個人と誰か、社会、共同体、国家…
JAIHOでクレール・ドゥニ「美しき仕事」(1999年)を観る。これはすごく面白かった。 フランス軍外人部隊の軍曹である主人公(ドニ・ラヴァン)の、彼の上官(ミシェル・シュボール)に対する、部下としての忠誠や尊敬の念を越えた、個人的なある想いがあり、若く…
ロス・ロボス2021年のアルバム"Native Sons"。カバー集なのだが、ビーチ・ボーイズの"Sail on, Sailor"をやってて、これがまるで思いがけない掘り出し物みたいな感じで、曲の並びに配置されていて、これがじつに良くて、バンドというのはすぐれた曲を自作し…
たぶんこのあと、日に日に暑くなってくるはずで、いまはまだ朝夕それなりに肌寒さを残すが、それもおそらくは今のうちだけ。このあとの気温上昇カーブが、きっとかわいくないだろうから、植物たちは我先にと繁殖スピードを上げて花咲き始めるのだろう。 歩道…
え?あのことがすでに二か月前なの?という驚きと、え?あのことがすでに十年以上前なの?という驚き。そういう驚きの連続を、日々生きているようなものだ。なら、驚きっぱなしの毎日はさぞ面白いでしょうと言われそうだが、もちろんそんなことはなく、その…
とんかつ好きな人の、とんかつ愛の深さは、ぼくなどからは計り知れないほどで、とんかつを愛する人の言葉に一度でも触れてしまうと、僕などがとんかつについて何かを語る資格もないとはっきりわかる。 今日、じつに久々にとんかつ屋でロースかつ定食を食べた…
U-NEXTで空音央「HAPPYEND」(2024年)を観る。どこか古いというか懐かしい感じのする物語の建て付けである。学校という枠内での、学生の自由や反抗をめぐるこうした話は、ここ二十年くらいで根拠を失くして、もうすっかり消え去っているものと思っていた。(な…
ボブ・ディランの"Just Like A Woman"の歌詞について、ネットで検索するといろいろ出てくるが、いいと思える日本語訳には出会えないし、解釈みたいな文章を読んでも、まるで納得できない。でもこれは仕方がないことで、この歌詞に意味としての正解はないのだ…
JAIHOでギヨーム・ブラック「リンダとイリナ」(2023年)を観る。 教室で授業を受ける学生たちが皆マスクをしている。階段の踊り場で二人並んでダンスするのをスマホで撮影する。あとでTikTokに上げるためだ。 リンダは内向的で自己防衛感強めで、親の都合で引…
水晶の写真を見てみたら、ゾゾっと全身が総毛だった。よくよく見ると、鉱物というのは相当にグロい。人間に関係ない物質で、人間に敵対的とか友好的とか、そういう類の範疇にもない。 自分の一部が、硬くなる。自分の一部が、剥離する。…とは何か。角質化し…
居酒屋の店内から聴こえてくる人々の言葉はいつも大体一緒。連日同じ人同士ではないかと思うくらい一緒。 「おまえの気持ちはわかる」「あなたは優しすぎる、いいひと過ぎる」「どう考えてもおかしい」「みんな納得いってない」「あいつはほんとうにどうしよ…
西暦2000年が訪れる。あたらしい世紀を迎えた。あいかわらずぼんやりとした顔で、定まらぬ視点を泳がせている。浮かれてはいない、金も足りないし、こころもとない先行きしか想像できない。その停滞と戸惑いのなかに留まって今を惜しんでいる。外から急かさ…
不明な暗証番号4桁を、自力でわりと簡単に開けてしまう人物がいる。南京錠に強い。会社の机上物品を固定する際に用いる鍵だが、自分で設定した暗証番号を忘れてしまう人が意外に多くて、そういうときは彼の出番である。 どうも数字の組み合わせを総当たり方…
ある映画を観始めたら、どうにもつまらなくて、この先も何となく期待がもてない気がして、5分もたたないうちに「やめようかな」と考えはじめる。結局20分ほど過ぎたあたりで観るのをやめた。 それでそのあと「ミレニアム・マンボ」を観始めたら、もう始まっ…
橋を渡りながら川を見下ろす。川の大きさにいつも圧倒される。そんな話はここに何度も書いてきたけど、渡るたびにそう思うのだから、飽きもせずに何度でも書きたくなる。 大きいから驚くのではない。大きさが壊れることに驚くのだ。自分があらかじめ許容でき…
JAIHOでホウ・シャオシェン「ミレニアム・マンボ」(2001年)を観る。オープニングから、ぼそぼそと陰気な女の声。ミレニアムつまり西暦2000年、厄介な彼氏と刹那的な毎日を過ごしていた女が、当時を回想する声。あれから十年が経ったというなら、彼女は2010年…
最近、轍(わだち)を見かけることはほぼない。昔は、ぼくが子供の頃は、地面のいたるところに轍があった。八十年代くらいの話なので、さすがに馬車とか荷車の走った跡ではなく自動車や自転車のタイヤ跡だけど、未舗装の道はまだ多かったから、雨上がりになれ…
たぶんダメだろう、ダメであることを前提で色々考えなければ…と思いつつ出社したら、予想に反してダメではなかった。それが自分には妙にうれしく、少し浮かれた気分になった。じつはもしダメでないならそれなりに準備や根回しなどやっておくべきこともあった…
寒さ厳しい雨の一日、家から歩いて十分かそこらにある、最近出来たらしい韓国料理店でサムゲタンを食した。食べたいと思っていたものを食べることができた。小ぶりながら鶏丸一羽を食べつくした。 開店時間と同時に我々二人が店を訪れて、まもなく二人連れが…